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人それぞれ住居に求めるものは違うはずです。私も実家の一軒家、幾つかの賃貸住宅を移り住むうちに、自分の家を作るならばこんなふうにしたい、こんなのは嫌だだということが明確になリました。

一言で言えば快適でシンプルな箱であることです。ここでの”シンプル”とは、”シンプル”=”何も無い”ではなく、必要なものが充分なスペックで提供され、それ以外の過剰なものが無いというイメージです。賃貸住宅もエクステリア、インテリアのデザイン性を最優先にするあまりそこに住む人の好みや快適性を阻害しないこと、好みやセンスにより自由に色を付けられる空間であることを第一に考えました。



まずは断熱(だんねつ)から。家を建てようとか、マンション買おうとか考えている人にとっては一般的な言葉かもしれませんが、日常会話の中であまり使うことはありません。簡単に言えば”断熱”とは文字通り”熱”を”断つ”、要するに冬の寒い空気、夏の暑い空気の影響を室内に至らせない為の建築上の仕組みです。

木造住宅であれば綿のマットのようなもの、鉄筋コンクリートの建物ならばスポンジ状の白い詰め物を建築中や取り壊し中の建物で見たことがないでしょうか。それが”断熱材”であり、この断熱材で室内空間の温度変化を少なくしようとすることが断熱ということになります。

”だからどうした!”という声が聞こえてきそうですが:-)、今しばらくお付き合いを。で、この”断熱”の方法には大別すると”内断熱(うちだんねつ)”と”外断熱(そとだんねつ)”があります。

内断熱

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このイメージ図が内断熱です。白い棒状のものが断熱材ですが”内”側に断熱材が張られているから内断熱と呼ばれています。イメージ図は鉄筋コンクリート造りの住宅の例ですが、現在日本の鉄筋コンクリート建物はほとんどがこの内断熱です。コンクリートは熱を貯め易い特性を持っていますので、直接空気面が多い箇所、上記の図で言えば外に出ている面は外気に同調して冬は冷たく、夏は暑くなってその熱をなかなか逃がしません。

本来であればこの冷気や熱気を防ぐのが断熱材の役目なのですが、ほとんどの場合断熱材が張られているのは(より詳しくいうならば鉄筋コンクリートの建物の場合、断熱材は張られるのではなくウレタンなどを泡状にして壁面に吹きつけられるのが一般的です)室内の壁面のみで天井や床には断熱加工がされていないことが多く、断熱材自体も充分な性能を発揮できるほどの容量が施工されていないようです(厚く施工するとそれだけ室内面積狭くなってしまいますし.....)。

当然こうなると冷気や熱気はコンクリートから室内空間に伝わってきます。また窓などの開口部があれば当然そこからも熱はやって来ます。ここまででだいたいご理解頂けたでしょうか?夏や冬にエアコンの利きが悪いというのはここに理由があるんです。”寒いのも、暑いのも平気だから関係ない”と考える人もいるかと思いますが、冬場に冷たくなった壁面や窓と室内の暖かい空気がぶつかると今度はそこに結露が発生します。結露で湿った箇所にはカビが.....というここで書いたような状況が発生してしまう訳です。

結露やカビで嫌な思いをした私にとってこれは絶対に避けたい事態で、何とかならないかといろいろ聞いたり調べたりして知ったのが外断熱でした。



外断熱

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内と外ということで今度は断熱材が内側ではなく、建物全体を包むように外側に張られています。当然外気とコンクリートの間に断熱材があるのでコンクリートは外気ではなく室内空間側と同調します。室内が暖かければ暖かく、冷たければ冷たくなり前述のようにその熱を逃がしません。内断熱で暑さ、寒さの原因となっていたコンクリートが今度は暖房、冷房の助けをしてくれる訳です。

これによりこれまでよりも小さな熱源で同様の効果を得られる、要するに少しだけ冷暖房をすることでその効果が長時間持続できるということになります。また室内側に断熱材が無いことで断熱材を隠す為の壁も不要となりコンクリート面をそのまま室内に見せることができます。そしてコンクリート面と室内温度の差が無ければ結露、カビも発生することも無い、ということで万事OKとなりました。




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外断熱の工事は竣工した夏前に行われましたが、内装工事で入った業者の方からも、普段の現場よりも室内が涼しいという声が出ていました。この外断熱は我々家族を含めてAPARTMENT TOKUに暮らす人達が快適に暮らせる為に採用したものではありますが、一番恩恵を蒙りそうなのは、寒がりで冬場は手足が冷たくてなかなか寝れず、昼間も厚いソックスやスリッパを履いて丸くなっている我が妻かではないかと思っています(笑)。

ちなみに外観はモダンなコンクリートの打ち放し、室内空間もコンクリート打ち放しというのを雑誌やテレビなどで見たことある(もしくは住んだことある?)と思いますがここまで読んだ方は疑問に思うのではないでしょうか、”どこに断熱材はあるの?”と。

結論から言うとこのような建物では断熱はしていません。”内”、”外”という断熱の他に”無断熱”というのがある訳です。確かに見た目にはカッコよく映るのですが、実際に住んでいる人の話を聞く限り”夏暑く・冬寒い”そうで私には無理みたいです。

そんな知識から、もしも、”コンクリート打ち放しの部屋は冬寒く、夏暑い”と思っている方がいらっしゃったらそれは間違いです!ここまでで書いたようにそれはほとんどの場合しっかりとした”断熱”がされていないからであり、建物外側で断熱を行ったコンクリート打ち放しの部屋は”冬も夏も快適”です。




135_3510.jpgいくら壁面を断熱したといっても開口部がこれまでと一緒では効果が上がりませんのでAPARTMENT TOKUでは各部屋のサッシュで複層ガラスを採用することにより開口部での熱ロスを出来る限り抑えるようにしました。

この”複層ガラス”という言葉も日常生活であまり耳にすることないかもしれませんが、通常は1枚で構成される窓ガラスを2枚以上のガラス板で構成して間に空気層あるいは真空層を入れた窓ガラスのことです。断熱・防音性能は従来の1枚の窓ガラスより優れていますので、窓をダラダラと水滴が流れてカーテンがびっしょりなどという心配は無用ですし、外部も音の室内への影響もかなり抑えることができる訳です。

冬の厳しい欧米地域や日本でも北海道などで一般的のようですが関東以南では最近の新築住宅で採用され始めている状況のようです。

ただ、いくら複層ガラスを採用したといっても、窓だけであれば単に”窓の結露”や”窓際の寒さ”改善の一手段でしかなく、外断熱やその他の仕組みと合わせてはじめて全体の快適性向上となる訳です。




135_3576.jpgここまでで熱のロスが少なくなり室内の温度が外気の影響を受けなくなりました。結露やカビも防げそうです。でもこれで全てでは無いのです。鉄筋コンクリート造、サッシュの性能も高いとなると当然のことながら気密性も高まって、”高断熱・高気密”状態となっています。

”気密”が高いということは出入りする空気が少ないということですが、室内の汚れた空気がそのまま滞留するということにもなります。締め切った部屋にて宴会開催、喫煙者多数という状況を想像すると分かり易いでしょうか(笑)。当然これではいつ倒れる人が出てもおかしくないので新鮮な空気を取り入れて、汚れた空気を外に出す必要が出てきます.....これが”換気”の重要性です。

APARTMENT TOKUでは浴室吸気の24時間換気を取り入れることで部屋の空気を新鮮で快適に保つことを実現しています。”高断熱・高気密・換気”がセットであることが重要なのですが、機械で換気するなんて人間的な生活では無い!とか思われる方もいらっしゃるかもしれません。

確かに伝統的な木造日本家屋では、気密性が低く空気が隙間風という形で入れ替わるので、特別換気に注意を向ける必要はありませんでしたが、代わりに冬の寒さという宿命を抱えていました(夏は大きく張り出した庇により夏の高い日差しを遮ることで対応可能でした)。

また近年の一軒家、マンションでは伝統的な木造日本家屋に比べれば格段に気密性は”意図せず”向上していますので、現在の多くの住居は既に問題を抱えた状態であると言えます。その状況で”換気”という意識と対策が為されていないことの方が問題だと思うのです。

しっかりと”熱と空気を制御できる”ことがハードウェアとしての住居に求められる基本条件ではないかと考えています。この基本条件を満たして初めてデザインを含むソフトウェアとしての住居に進めるのではないでしょうか。




各部屋はこれまでの間取りで区切るならば1LDK,2LDKというぐらいでも充分ですが、全て仕切りの無いワンルームの広い空間を作りました。シンプルな箱なので、住む人それぞれが自由に好みやセンスを反映できると思っています。ここではより具体的なイメージを持って頂けるように、部屋や設備に関して紹介します。

浴室乾燥機&24時間換気装置

135_3568.jpg各部屋の洗面所には“乾燥“、“涼風“、“暖房“、“換気“、“24時間換気“兼用の装置が取り付けてあります。利用はパネルから任意の機能を選択するのみですが、APARTMENT TOKUでは外断熱を採用し、気密性もたいへん高く設計されている為、窓を閉めきった状態でも室内空気の入れ替えが行えるよう、24時間換気システムを常時作動させることを前提としています。

24時間換気システムを常時作動させて自動での定量換気を行うことで、常に新鮮な外部空気を室内側吸気口より取り込み、汚れた室内空気を浴室より排出するという空気の流れが出来上がり、快適な室内空間を保つことができます。作動させた場合には約2,3時間で室内の全ての空気が入れ替るぐらいの緩やかなものなので、冷暖房の効果を損ねることもほとんどありませんし、作動させる為の電気代も月200~300円程度の額です。




インターネット&TV環境

135_3584.jpg信頼性と利用可能ISPへの間口の広さを評価してNTTのFTTHサービスであるBフレッツが別途契約により月額3,500円で利用可能です(ISP料金は契約先により異なります)。各部屋とNTT管理のネットワーク機器をネットワークケーブルで直接接続する形態ですので、ロスなく回線性能を利用することができます。接続の方法は壁に設置したネットワークケーブル用モジュラジャックとお手持ちのパソコンのネットワーク端子もしくはHUBをネットワークケーブルにて接続するだけです。


また、VHF・UHF、アナログ・デジタルBS、110度CSデジタル、地上デジタルに関しては予め各部屋に配線済みですのでお手持ちのTV、ビデオを接続して頂くことですぐに視聴できます。VHF・UHF・地上デジタルはCATV局iTSCOMよりの映像を分配していますので、別途追加サービスに加入することで有料放送の視聴も可能となります。 アンテナ用のコンセントは2つありますがどちらにも同一の信号が分配されていますので、分波/分配により任意のチューナーに接続して使用して頂ければ受信可能です。




フローリング

134_3459.jpg工業技術の進歩によりどう見ても木にしか見えないビニールクロスやシートなどが結構いろんなところで使われています。先日とあるマンションで、ず~と木でできていると思っていた天井が実は木目を印刷したシートだと知ってびっくりしました。それぐらい見た目だけでは分からないような建材があるんです。

でも.....、見るだけでは区別できなくても実際手や足で触れてみればわかりますよね。木そっくりのビニールシートは触れば当然単なるビニールシートでしかないので。素材それぞれに特徴があるのでこのような素材を否定するつもりは全く無いのですが、いわゆるナンチャッテ素材はどうしても好きになれません。このような素材は最初が一番良く、時が経過するにつれて汚くなっていくだけなので......

今回賃貸の各部屋の床はナラ材の無垢フローリングになっています。傷や汚れの面で賃貸では敬遠される無垢材ですが、傷や汚れも味だと思えば本物の素材の方が絶対良いと思うのです。




壁面フック

132_3202.jpg今回各部屋の壁面のほとんどをコンクリート打ち放しのまま仕上げてあります。これは外断熱にして内部に余計な断熱材やボードを取り付ける必要が無くなったことと、中途半端な壁紙や塗装をするくらいならば素のままが良いとの考えからですが、コンクリート壁にすることでボードを取り付けた普通の仕上げならば可能だった壁面へのピン、フックの取り付けが出来なくなってしまいます。

この為通常はモルタルで埋めてしまうPコン(木コンとも言う模様)穴を残して埋め込まれているボルトを利用してフックなどの取り付けに利用してもらおうということになりました。


131_3200.jpg写真が取り付用のフックです。これは渋谷東急ハンズのネジやドアノブなどを扱っている売り場で購入しました(TAKIYA でも同じようなものを購入できます)。

ネジ穴(M8サイズ)が付いているので4つのフックをまず取り付けてその上に四隅にネジサイズの穴を開けた四角い板(丸でも三角でもいいですよ)を当て、この上から写真にあるようなM8規格のボルト(写真のリングボルトは150円)でフックに固定すれば、任意のサイズの壁面ボードを作ったりすることもできそうです。

壁側のボルトはW5/18という規格サイズで統一されていますので同サイズのネジ穴が付いた金物であれば基本的に何でも利用可能です。尚、形状は違いますが各部屋にフックとして利用可能なボルトを10本程度用意していますので差し当たりの利用には困らないと思います。

住む方にお願いなんですがくれぐれも常識的な使用の範囲に留めてくださいね...この壁側のボルトはコンクリートを打つ際の型枠を両側押さえる為に存在するものなのでボルトは壁の両側に貫通しています。極端な話、片方の部屋側から思いっきりこのボルトを叩けば反対の部屋側のボルトが飛び出すことになる訳です。ですのでここに取り付けた金物を利用して懸垂するとか!、ハンモック吊るすとか!!などは壁内のボルトが確実に折れるか抜けるかして悲しい事態になりますのでくれぐれもご注意を:-)




照明ダクト&多目的パイプ

135_3590.jpg各部屋の天井には多目的パイプと照明ダクトを取り付けました。パイプは物干し、洋服掛け等に利用できます(ぶらさがらないでね)。

照明は余計なお世話にならないように既存のものはシンプルで目立たないものを設置して主たる部分は好みのものを自由に取り付けてもらえるようにしてあります。天井からスポットで照らしたいなどの場合には照明ダクトを利用して自由に設置してください。




134_3433.jpg平和・安全の日本も最近では欧米並みに物騒になってきました。特にピッキングなどドアの鍵を開ける、壊しての侵入・盗難犯罪はマスコミでも頻繁に取り上げられるほど一般的になってしまいました。鍵の技術と犯罪手口の追いかけっこでどこまでいっても安全とは言えないですが、多少なりとも安全な鍵をということでディンプルキーを採用することになりました。鍵はKABAのライセンスを受けたMIWA製ですが形状・性能は同一です。

ただ、オートロック、防犯性の高い鍵を採用しても犯罪の被害に遭う確率が少なくなったというだけでこれさえあれば100%安全というものではないことは言うまでもないですよね。エントランスのオートロックも住人と一緒に入られる可能性はありますし、当然鍵も施錠しなければ全く意味なしです。施錠したとしても窓などのその他開口部からなどという可能性もある訳で...結局のところ設備だけではなく住む側の防犯意識と他世帯の住人の面識度合いなどもとても重要だと思うのです。

最新の防犯設備が整っているが誰が住んでいるか互いに知らないような集合住宅よりも、防犯設備が無くとも互いに面識、日々の付き合いのある長屋のような住居の方が空き巣被害は少ないという内容をテレビで言ってました:-) 小さな建物・少ない世帯なので気軽にコミュニケーションできるような関係を築きたいですね。



玄関

143_4389.jpg共用玄関は大き目の木製扉に南部鉄のハンドルを取り付けました。ツルンとした綺麗な質感があまり好きではなかったのでちょっと無骨な感じですが時間が経つとともに良い感じに古びてくるのではと期待してます。

扉の隣はメイルボックスです。街中のマンション、アパートで目にするのは一様に銀色のスチール製のものですが、今回取り付け予定だったのも同じような”ふつう”やつでした。他に良いものがないかといろいろと探してみて何故どこも同じようなのが付いているかが分かりました。理由は.....”安い”&”選択肢が無い”です。どうやらポストに拘る人はあまりいないようで(笑)、そもそも既製品で集合住宅用となるとほとんど選択肢が無く、その代わり?値段も安いのです。

でもどうしてもこの既製品は嫌で設計士の方にお願いして写真のようなものを作ってもらいました。居酒屋にある下駄箱みたいなただの箱ですが個人的にはとても気に入ってます。どうでしょうか?



廊下

143_4399.jpg玄関ドアを開けると廊下になっていて1階の各部屋に入る扉と2階に上がる階段、中庭に抜ける通路が続いてます。良くマンションなどでこのスペースに自転車やゴミ箱、古新聞・雑誌などが散乱してる光景を目にしますが、どうしてもこれが嫌で入居者の方に協力して頂いて不要なものは出来る限り置かないように心がけてます。

昼は日差しがあまり入らないのでちょっと暗い感じがありますが、夜はそれなりに雰囲気のある空間になっているのではと勝手に思ってるのですがどうでしょうか。尚、自転車に関しては反対側の通用口付近に駐輪スペースがありますが、大事な自転車ならば部屋へ持ち込みください。



中庭スペースとおまけ

143_4329.jpg建物の丁度真ん中に、狭いながらも中庭スペースがあります。小さな木のベンチや大きめの植物を置きました。窓から見える風景が隣の家の壁よりも、風に揺れる緑が見える方がちょっとはリラックスできると思うので、植栽は手入れしながら少しづつ増やしていきたいと考えてます。


143_4307.jpgそうそう、せっかくの共用玄関なのでアクセントにこんなのを置いてみました。カエルです。とある店で見つけたのですが、楽器の種類とポーズが異なるカエルが3種類ぐらいあり暫く迷った末に、こいつを連れて?きました。

”入り口にカエルが置いてある建物です”というような目印と、”お帰りなさい”の意味を込めて。